2026年2月5日東京に開催された「FinCity Global Forum 2026」および「Tokyo Asset Management Forum 2026」では、グローバル金融構造の変化を背景に、国際金融センター間の連携強化が重要なテーマとして議論された。特に、日本とドイツの金融機関関係者による対談では、東京と欧州の金融センターとの協力が、今後の国際金融システムにおいて重要性を増しているとの認識が示された。
ディスカッションにおいて、東京国際金融機構(FinCity.Tokyo)の中曽宏会長は、米ドルの基軸通貨としての役割の変化に加え、人工知能(AI)技術の急速な発展、気候変動への対応、各国における財政赤字の拡大といった構造的な変化を指摘した。その上で、「ユーロ、ポンド、スイスフラン、カナダドルなどの準備通貨を支える金融センターと東京は共通の目標を有しており、東京は国際金融コミュニティに対して、より効率的かつ効果的に貢献できる」と述べ、国際金融センター間の連携の重要性を強調した。
さらに中曽会長は、円の国際通貨としての役割強化の必要性にも言及し、日本の金融センターとしての機能向上が不可欠であるとの認識を示した。日本は国内市場にとどまらず、アジア太平洋地域の経済主体に対しても金融サービスを提供する役割を担っており、強固な産業基盤とサプライチェーンを背景に、地域金融における重要な拠点となる潜在力を有していると指摘した。
一方、フランクフルト・マイン・ファイナンス(Frankfurt Main Finance)のオリバー・ベーレンス会長は、東京が有する安定した制度環境と巨大な金融資産基盤を高く評価し、国際的な資産運用拠点としての役割が拡大しているとの認識を示した。また、「現在のグローバルシステムの変化は、ドイツと日本の関係をさらに緊密化させている」と述べ、両国間の経済および金融協力が新たな段階に入りつつあるとの見方を示した。
さらにベーレンス会長は、ドイツと日本が共に輸出主導型の高度に工業化された民主主義国家であり、急速な高齢化という共通の構造課題を抱えている点に言及した。その上で、今後の有望な協力分野として、AIを活用した金融プラットフォーム、エネルギー転換関連投資、信頼性の高い技術分野(いわゆる「トラステック」)、および長期資産運用などを挙げ、東京とフランクフルトの金融センター間の連携強化が、具体的な成果につながる可能性を示唆した。
こうした発言は、世界の金融資本の流れが再編される中で、東京と欧州金融センターとの連携が戦略的重要性を増していることを示している。特に欧州の金融機関にとって、制度的安定性、市場規模、そして豊富な長期資産を有する東京は、アジアにおける重要な資産運用および投資拠点の一つとしての位置付けを強めている。
近年、地政学的リスクの高まりや経済安全保障への関心の強化により、世界の金融センター間では競争と同時に補完的な連携の動きも進んでいる。その中で東京は、世界最大級の年金資産を背景に、長期安定運用を重視する国際投資家からの信頼を維持しており、国際金融ネットワークにおける役割の拡大が期待されている。
今回の日独金融連携に関する議論は、東京が単なる国内金融市場にとどまらず、グローバルな資産配分における重要なハブとしての機能を強化しつつあることを示している。今後、欧州金融機関による東京での資産運用拠点の設立や投資活動の拡大が進むかどうかは、東京の国際金融センターとしての地位を占う上で重要な指標となるだろう。
本記事は公開フォーラムの討論内容および公開情報に基づき分析したものである。
